緩んだ『箍』の巻


 TBSという局はテレビ局のなかで一番嫌いなのだが、この前の日曜日はたまたま『サンデーモーニング』を見ていた。あの「喝」で有名なあの番組だ。あの番組の最後には「風をよむ」というコーナーがある。僕はこのコーナーは少し気に入っていてこの前の放送も見ていた。そのテーマは『“箍”緩んでいませんか?』だった。箍というのは樽とか桶とかの周りに縛られていてその形を形成・維持するためのものだ。つまり、それが緩むと樽は形を形成出来ず、また樽自体として成り立たない。
 それが特に現れていたのは、6月の下旬に起きた、有名整形外科医の娘が誘拐された事件。3流ドラマでも在りえない出演者全員のマヌケっぷり。唯一普通だったのが車のナンバーをメモしてすぐに警察に駆け込んだ目撃者。それ以外の全員がまさに箍が緩んでいた。娘を近くのバス停から通わしていた有名整形外科医も、自分の免許証でレンタカーを借りた犯人も、犯人のマンションを間違えて突入した警察も、箍が緩みっぱなし、樽の底が抜けた感じだ。
 ただこのケースは箍の緩みが結果オーライのケースだ。箍の緩みは現代社会至る所に現れている。常識がもはや常識ではなくなっているのだ。この箍の緩みを直すのは、政府でも役人でもなく、貴方たちひとりひとりだ。


yamato kira